「……雨…降ってきた……お父さんっ」

パタパタと教会を走る少女。

「エルト…雨でも開けておきなさい」

「え〜?雨はいってきちゃうよ〜?」

エルトは顔を膨らませる。

「お客様が入ってきたよ、エルト」

「え?――…っあ…」








第1話 永久に飛ばさせて







「ダーク〜…学校に遅れるよ?ダーク!」

レインは溜息をつく。

ダークが家から出てこないのだ。

「ダークってば!」

レインは家の前で待っているが、ダークが出てくる様子はない。

「家入るよー」

レインはダークの家に入り、部屋の扉を開けた。

其処にはダークが何かを必死で描いていた。

「…何かいてるの…?」

レインはびっくりして、ダークを見る。

「何って…ペガサスだよ!あの時のペガサスを書いてるんだよ!」

ダークは怒りながらいう。

「……ダークらしいね、本当」

少し苦笑しているレイン。

「でも、なんっか違うんだよなー」

「…何処まで書けたら凄いって…あ、じゃなくてダーク!

 学校に遅刻しちゃうってば。今日は・・・・・」

レインは必死にダークを連れて行こうとするが、

ペガサスを書くことに熱中しているダークは聞いていない。

「もー・・しょうがないなぁ・・・・」

レインは聞かないダークを置いて、一人学校へと向かった。

(・・・今じゃ・・・何が間違ってたのか・・・解らない・・・)

『ダーク、僕たちずっとこの村にいるよね?』

『どうして?』

あの記憶が何度かこだまする。

『だって、僕は此処が大好きだもんっ』

『だからっているとは限らないぞ』

『…ダークは…嫌い?』

『そんなわけないだろ。好きだよ、此処』

記憶の中で延々とこだましているものがある。

それは誰しもあるはず。

「……」

言葉は出なくて、でも、何かを伝えたくて…。

「…………ダーク…………」

レインとダークは……旅へ出た。

大好きな村には戻らないと決心をして…















「晴夜、俺行きたくないっ」

一生懸命、月夜は顔を横に振る。

ただこの村から少しでて探すだけで良いのに、

月夜はそれを物凄く嫌がっていた。

「なんで?そんなのすぐ終わるって」

「やだってば!」

月夜は晴夜を後ろへと引っ張る。

「…どしたんだよ、お前」

「……だって…嫌じゃないか…」

月夜は下にうつむいてしまう。

「僕も、晴夜兄がいなくなるの、やだ」

「わっっ!!!…なんだ、神風か」

あー、びっくりした、と呟く晴夜。

「……晴夜兄、いっちゃうの?」

神風はじっと、晴夜を見る。

「大丈夫。直ぐ戻ってくるから」

「でも・・・」

「神風はとりあえず、兄ちゃんや姉ちゃんはほっといていいから、

 由梨の面倒見てくれないか・・・・?」

「・・・・はい」

神風は肩をがっくりと落としたが、

直ぐに上を向いてにっこりと笑い、

「頑張る!」と言って家のほうへ駆けていった。

「つーきーやー」

晴夜は月夜をじっと見る。

「…離せよっ・・・絶対・・行かない!!!」

「でも、お前のためだぞ?」

「そんなの・・いらないよ・・・っ」

月夜は一生懸命首を横にふった。

「・・どーすっかなぁー・・」

晴夜は溜息をつく。
















「………村長…………?」

少女はゆっくりと歩いてくる。

「どうした?光<ライト>」

「……”永久の命”…なんてもの…消しましょう…

皆、ありもしないものを此処の村にすがってくるんです!

あの存在がないって…全てに伝われば…きっと…」

『村に平和を』

光は悲しそうな瞳で村長を見た。

「だが、光」

村長はゆっくりと言う。

呪われた子供たち(・・・・・・・・)はどうする?」

光は何も答えない。

「本当に呪われている彼らは・・・あの存在を消す事で・・

 己の存在の意味を消してしまう。ならばせめてでも、探させよう」

「でも・・死ぬときになっても・・・表れはしない!

 死ぬときになって・・凄く無駄な時間だって・・思えてくるんじゃないんですか?」

光は村長を少しだけにらんだ。

「光は今年で幾つだ?」

「……11歳です」

「だったら、お前は何も心配しなくていい。村の事は私が守る」

「……はい」








第2話へ続く